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ジャーナル
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ビデオ会議をゲリラ災害のバーチャル対策本部として活用

2022.08.24

ここ数年、全国各地で竜巻やゲリラ豪雨といった気候変動による突発的な自然災害が相次いでいます。これらは発生してから短時間で大きな被害をもたらすのが特徴です。自治体は災害対策本部を設置してから指示を出すのでは対応が間に合いません。従来の手順を改めて、各自の持ち場で指示や勧告のできる、ゲリラ災害に特化した新たな体制作りが求められています。その基盤に、ビデオ会議(TV会議)システムの活用が提言されています。


これまでのやり方では対応できない局地的な自然災害

大きな被害をもたらす自然災害のひとつに台風があります。台風の場合は、気象予報で勢力や上陸の予測を何日も前から知ることができます。そのため、自治体では台風が来る前に関係職員を招集して災害対策本部を立ち上げ、そこから意志決定と指示を出すことで対策をとってきました。すなわち、自然災害を待ち構えて被害を最小限に抑えるようにしてきたのです。
これに対して、ゲリラ豪雨、竜巻、洪水による堤防の決壊、火山噴火など、最近多発している自然災害は予測が困難で、しかも短時間のうちに発生して被害をもたらします。そのため、台風のときと同じように災害対策本部を設置してから対応に乗りだすのでは間に合いません。

バーチャル対策本部の開設で突発災害に対応

予期せぬ自然災害では、対応が後手になるほど被害は甚大になります。このため、これまでのような事前準備を万全にするのではなく、迅速かつ臨機応変な対応を優先した指揮系統の確立が必要であるとの指摘がされています。
ひとつの方法として提案されているのが、防災に携わる責任者や関係者を会議室に招集せずにネット上で意志決定や指示を出せる暫定災害対策本部の設置です。これは、インターネットや社内LAN回線を用いて連絡を取り合えるバーチャルな協議・指揮系統で、職員が自分の席から指示や勧告を出せるようにするのがねらいです。
局地的な自然災害の場合、自治体の庁舎が大きな被害を受けることは少なく、よほどでない限りインターネット回線が寸断されてしまう事態もありません。そこで、突発災害が発生したときは、インターネットや社内LAN回線を用いて連絡を取り合える環境を整えて即座に関係各所へ指示や勧告を行えば、被害を最小限に抑えることができます。そして、自然災害が収束した段階でバーチャル災害対策本部を終了し、従来のような対策本部を設置して本格的な活動に移行します。二段階の災害対策本部を運用することで、被災地域への救援や復旧といった対策を的確に行うのです。

バーチャル災害対策本部にビデオ会議システムが寄与

バーチャルな対策本部を開設・運用するときには情報通信技術(ICT)の活用が大きな役割を果たします。なかでも、ビデオ会議システムが有効です。一刻を争う事態のときは、ビデオ映像を使った対面と口頭によるやりとりは素早く意思疎通がはかれるからです。また、ビデオ会議は、口頭での説明が難しいときに、メモを書いてそれをカメラに向けて相手に見せれば用件が伝えられる利点もあります。迅速で臨機応変な対応が求められる状況では、ビデオ会議システムは最適な連絡手段といえます。
ビデオ会議システムを活用したバーチャル対策本部は、日ごろから訓練しておけば短時間で運用を開始できます。災害対策用の会議室に必要な機材を設置して、すぐに使えるようにしておくのもよいでしょう。

ICTの活用で災害に強い街作りを

最近の気候変動による自然災害は、河川周辺や山岳部にだけ大きな被害をもたらすとは限りません。地球温暖化の影響による海面水位の上昇で、今後は都心の埋め立て地域でも突発的な洪水被害をもたらすという予測もあります。こうした災害への対策は時間との戦いとなるでしょう。高まる突発災害への対応として、自治体はICTを活用した迅速な防災対策を検討しておきたいところです。ビデオ会議を使ったバーチャルな災害対策本部の開設は、災害に強い街作りへの施策として有用です。

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