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ジャーナル
Journal

ビデオ会議システムが裁判所代わりに。
父島・母島で導入へ

2022.08.10

裁判所は、私たちがトラブルに巻き込まれたときに、権利を守ってくれる大切な機関です。本土で生活している人は、簡易裁判所であればさほど時間をかけずに出向くことができます。しかし、離島で暮らす人にとっては、裁判所を訪れるまでが一苦労。フェリーに乗り、電車を乗り次いで行くのは容易なことではありません。 そんな離島の住民が、司法サービスをもっと身近に利用できるようにと、新たな取り組みが始まろうとしています。それがビデオ会議(TV会議)システムを使った裁判所の開設です。


離島には裁判所がない

裁判所のうち日常生活でもっとも関わりが深いのは、民事調停を扱う簡易裁判所です。簡易裁判所は、たいてい県庁所在地にあり、本土で生活している人であれば鉄道やバスで容易に出向くことができますが、離島では交通の便も悪く、日帰りするのも困難な状況です。
一方で、裁判所は町役場のように島ごとに設置するのは困難です。そのため、離島で生活している人たちは、当事者間で解決困難なトラブルが起きても、なかなか裁判所に頼ることができません。地域によって司法サービスの受けやすさに格差があるのは大きな問題です。

父島・母島でビデオ会議を使った簡易裁判所が実現

離島に暮らす住民にも十分な司法サービスを提供してほしい。この要望に応えるための新たな取り組みが始まっています。2015年4月から、小笠原諸島の父島と母島でビデオ会議システムを使った民事調停の導入を最高裁判所が固めたのです。
この取り組みは、村役場と東京簡易裁判所の間を専用回線で結び、ビデオ会議システムで話し合いをしながら係争処理を進めていくというもの。通信は、村と都心を結ぶ連絡用として既に敷設されている専用回線を使用します。そのため、ビデオ会議のやり取りが外部に漏れることはなく、セキュリティも確保されています。このように専用回線とビデオ会議システムを使い、村役場に代用の裁判所を実現するのは全国で初めてです。

ビデオ会議で金銭トラブルを解決

今回の父島・母島で実施するビデオ会議の取り組みで、島民は簡易裁判所で扱われる民事調停が受けられます。民事調停は、例えば金銭の貸し借りで生じたトラブルを仲裁・解決するときに行われます。
こういったケースは、離島でも本土同様に一般的です。しかし、当事者間で解決できない場合、裁判に持ち込むのは困難でした。実際のところ、小笠原から都心にある簡易裁判所まで行くには、6日に1便しかないフェリーを使って片道25時間もかかるためです。
利用できるのは簡易裁判所が行う司法処理のあくまで一部ですが、ビデオ会議システムによる民事調停は島民の利便性を飛躍的に高めます。司法サービスの新しい形を提供した今回の取り組みは、画期的と言えるでしょう。

離島住民向けの新しい公的サービスとして期待

司法や行政サービスは、その地域に暮らす住民であれば誰もが受けられる権利を持っています。しかし、離島のような場所で支部や出張所を設置するには財政面や運営面で難しく、島で暮らす人に十分な公的サービスを提供できていません。
今回の父島・母島で始まったビデオ会議システムによる民事調停の実施は、司法サービスを提供するための新たな方法を開拓したと言えます。司法機関のみならず行政機関にとっても、遠隔地向けにビデオ会議システムを導入していけば、公的サービスの発展に大きくつながるでしょう。

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